
IoTプロジェクトで、ある既存の電気製品を改造して、インターネットに繋げ、機器の稼働状況を把握するプロトタイプを開発しようと考えています。インターネットに繋げる通信方法として、3G通信とWiFiが候補に挙がっていますが、今後、製品の量産化・サービス化も見据えた場合、どちらの通信方式が最適でしょうか?

IoTデバイスの仕様用途によって変わります。通信速度・物理的制約・モジュール価格・ランニングコスト・ユーザビリティ(使用者の接続設定の容易さなど)の観点から検討してみましょう。
3G(LTE通信)は、スマートフォンで使われているように、Wi-FiやBluetoothと違って、面倒な設定がほとんどなく、場所の制約もなく、いつでもどこでもインターネットに接続できるので、IoTデバイスにとっては最適な通信方式でしょう。しかし、皆さんの身の回りの機器を見ても、スマートフォン以外で3G通信機能を有している電子機器は、まだ、少ないでしょう。主な理由は、3G通信モジュールの部品自体の価格にあると考えています。
まずは、3G・Wi-Fiについて先に述べた観点で比較をしてみましょう。
3G | Wi-Fi | |
通信速度 | IoT用の安価なプランでは遅い | 動画データなど大容量が可能。 |
物理的制約 | SIMカードスロット・別途アンテナが必要 | モジュール内にアンテナ内蔵 |
モジュール価格 (技適取得済み) | 約5000円~25000円程度 | 約600円~ |
ランニングコスト(通信費用) | デバイス1個毎に月額で費用がかかる | IoTデバイスとゲートウェイ間は無料 |
ユーザビリティ | 電源入れればすぐに接続 | 都度、ゲートウェイに接続作業が発生。また、2.4Ghz帯域で通信が安定しない |
こちらの表を見て頂くと分かる通り、3Gモジュールを選択する上で、一番目立つデメリットは、モジュール価格でしょう。ここ数年で、かなり価格は下がってきたと思いますが、それでも、10倍ほどの価格差があります。このモジュールの価格は、IoTデバイスにとっては、かなりの負担ですので、これがネックで採用を断念する企業も多いです。一方、Wi-Fiの場合、一番嫌がられるのが、ユーザビリティです。Wi-Fiは、電源を入れる度に設定をし、それでも上手く接続されなかったり、途中で通信が切れてしまったり、と言った事が頻繁に起こります。皆さんもカフェや会社のWiFiにPCやスマートフォンを接続する際に、不便な経験をされたことがあるかと思います。3Gにすればそのような事はほとんど無い為、ユーザビリティは、Wi-Fiの比ではありません。
2つの通信を比べた場合は、価格とユーザビリティはトレードオフの関係ですので、ゆくゆくのIoTサービス運用を考え、サービス運用する際には、どちらが最適なのか?という事を念頭い、各項目を比較してみて下さい。

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