BLEとBluetoothの違いを教えてください。


Bluetooth(LE)通称BLEは、Bluetooth4.0 から追加された規格で、それ以前の通称クラシックBluetoothを低電力化した規格ではなく、低消費電力用途の為に作られた新しい規格です。従来規格との互換性よりも消費電力の削減が優先されているので、クラシックBluetoothとの互換性はありません。「IoTデバイスに搭載する規格をどれにするか?」というような開発現場での文脈で言えば、クラシックBluetoothは、無視してしまって構わないでしょう。違いについては、以下のバージョンの変遷を見て頂くと分かりやすいと思います。



IoTでは、モノをインターネットに接続する為、これまでにない新たな通信規格が登場しています。例えば、長距離通信用のLPWA(Low Power Wide Area)では様々な規格(LoRaWAN/sigfox/NB-IoT等)が、IoTプロジェクトの実証実験などに活用され、主導権争いをしています。一方、既に市販されているIoTデバイスでは、Wi-FiやBluetooth(BLE)がお馴染みになっています。

その中でも、低速(低消費電力)ではありますが、低消費電力のIoTデバイスをスマートフォンと連携する用途においてはBluetooth Low Energy(Bluetooth LEまたはBLEと略)がスタンダードと言っても過言ではないでしょう。

BluetoothはIoTと叫ばれる以前からも、ヘッドホンなどに搭載されていたので、皆さんにもお馴染みの規格だと思います。

ただ、IoTで活用されるBluetooth LE(BLE)規格は従来のBluetooth規格とは大きく異なっています。

Bluetoothは2.4GHz帯というの周波数帯の電波を使用した近距離通信技術です。ちなみに、周波数別の用途をざっと見てみると、

  • 13.56MHz(近距離通信)
    RFID(Suica、Edy、Nanacoなど)、高周波加熱器、非接触電力伝送など
  • 920MHz(遠距離通信に対応)
    LoRAWAN、SIGFOX、RFID、テレメータなど
  • 2.4GHz帯(高速通信も可能)
    無線LAN(Wi-Fi)、Bluetooth、ラジコン、ZigBee、ワイヤレスマイクなど
  • 5GHz帯(高速通信も可能)
    無線LAN、気象レーダなど
  • 700MHz~3.5GHz帯
    携帯電話及びLTE回線

2.4Ghz帯の特徴は、無線従事者資格も無線局免許も不要な周波数帯(特定小電力無線 2.4Ghz/920Mhz/429Mhzがある)の中では、一度に通信できる情報量が多く、WiFiにも利用されています。アンテナの小型化が可能なんていうのも、小型機器への通信規格としてうってつけです。逆に、多くの人が使っている為、例えば、展示会等、人が多く集まるような場所とか、電子レンジなど同じ周波数を使っている機器も多い為、そのような場所だと、混線して、通信ガ不安定になるなどのデメリットもあります。

Bluetoothの規格にはいくつか種類があります。

バージョン データレート 特徴
Bluetooth 1.1 1Mbps BR(basic rate)
Bluetooth 1.2 1Mbps 無線LANとの干渉対策
Bluetooth 2.0 1Mbps(BR) 3Mbps(EDR) EDR(Enhanced data rate) 追加
Bluetooth 2.1 1Mbps(BR) 3Mbps(EDR) ペアリングが簡略化
Bluetooth 3.0 24Mbps データレートが8倍に向上。省電力機能の強化
Bleetooth 4.0 1Mbps LE(low energy)追加。データレートを遅くして、超低消費電力にするLEに関してはBluetooth3.0以前と互換性なし
Bluetooth 4.1 1Mbps IPv6対応(インターネットに直接つながる)、LTEや他のBLE機器との電波干渉を抑制する機能
Bluetooth 4.2 1Mbps IPv6LoWPAN追加(もの同士のネットワーク化)
Bluetooth 5.0 2Mbps 通信速度高速化(高速モード) 距離最大400m(長距離モード)

この表でざっくり見ると、Bluetooth3.0以前とBluetooth4.0以後では、主に消費電力と通信速度について大きく違いが出ています。開発現場で言われるBluetoothはクラシックBluetooth(3.0以前)を指す事が多く、BLEは、4.0以降を指す事が多いです。同じBluetoothを冠していますが、Bluetooth LE(BLE)とそれ以前のBluetooth(BR・EDR)では互換性が無く、全く別の規格と考えていても良いでしょう。

BLEは、低消費電力が求められるIoTデバイスにとって、非常に都合の良い規格です。IoTデバイスでは、センサー・マイコンに加え、無線モジュールにも低消費電力が求められます。IoTデバイスの中では、センサやマイコンでの電力よりも、無線モジュールの通信に桁違いに大きな電力を消費するので、IoTデバイスの電池寿命を延ばすためには無線部分の消費電力削減が必須になっています。

無線モジュール部分の電力を下げるには、モジュール内の無線回路の動作時間を短くする必要が有ります。しかし、クラシックBluetoothの仕様では、接続開始までに数100msかかり、ペアリングが必須で、時刻同期の要求仕様が10μsと短い為、動作時間を短くすることが出来ません。こういった制約からクラシックBluetoothでは無線回路を動かす時間を減らすことができず、消費電力を思うように下げる事が出来ませんでした。

そこで、Bluetoothの仕様を策定している「BluetoothSIG」は、それまでのBluetoothバージョンの互換性を捨てて、消費電力削減を優先させ、無線回路の動作時間を最小化する仕様にしたのです。その結果、Bluetooth4.0以降のBLE規格では従来規格との互換性を捨てた代わりに、大幅な消費電力の削減を実現し、IoTデバイスの主流の規格になったのです。



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