IoT機器を開発検討しています。BLEやWiFiでデータを送信する際は、必ず、IoT機器の近くに、インターネットに接続するIoTゲートウェイ・IoTルーターが必要になり、その部分がコストになります。また、BLE/WiFiとIoTゲートウェイの接続設定の手間もユーザー側からみると、コストになります。もっと広域の通信で、接続設定を簡単にする方法はありませんか?


セルラー通信(3G・LTE)やLPWAといった、長距離無線通信を検討してみましょう。もちろん、自社で設計しているシステムの中で、何を達成したいのかをよく考えた上で、それに最適な無線通信ネットワークを使う事が重要です。



IoTでは、PAN(Personal Area Network )やLAN(Local Area Network)の分野で、BLEやWi-Fiなどの無線通信の活用が広くされています。さらに、ここ数年で、より長距離通信が可能な、WAN(Wide Area Network)の分野で、IoT向けの規格や通信モジュールが登場しています。

カテゴリ 規格名称 通信距離(目安) 通信速度
 

WAN(Wide Area Network)

セルラー(3G/LTE) 2km 最大600Mbps
Cat0/CatM1 10km 最大1Mbps
NB-IoT 20km 最大62kbps
LAN(Local Area Network) WiFi 30m 最大866Mbps
WiFi Halow 1k 最大4Mbps
PAN(Personal Area Network) BLE(Bluetooth LE) 10m 最大1Mbps
Zigbee 100m 最大250kbps
Wi-SUN 500m 最大200Kbps

 

WANで普及しているのは、皆さんもご存知の、3G/LTEでしょう。通信可能エリアも、人口カバー率99%以上と言われているので、ほぼ、どこでも繋がりますし、電源を入れれば、毎回面倒な設定をせずにすぐにインターネット接続が可能です。上記の表では、通信距離が2kmとなっていますが、既に基地局が張り巡らされているので、端末が移動しても、広範囲をカバーする事ができています。

IoTでセルラー通信を活用する際の課題

セルラー通信は、IoTデバイスにとって、とても都合がよい通信規格ですが、いくつか課題もあります。通信料の課題も以前はありましたが、最近では、通信データ量の少ないIoT向けに低速・低料金のプランが出ていますので、この部分の課題は、ここ数年で一気に解決されたといっても良いでしょう。それ以外には、モノを設置する場所に電波が届かない問題と、ハードウェア問題があります。

モノを設置する場所に電波が届かない問題

セルラー通信は、人口カバー率で言えば99%ですが、IoTデバイスは、人がいない場所、過疎地や僻地に設置する場合も多く、そいう言った場所では、電波が届きません(正確にはセルラー基地局が近くにない)。

ハードウェアの問題

IoTデバイスに3G/LTEモジュールがほとんど搭載されていない最大の理由で、月額で固定の通信料がかかるからというのもありますが、通信料の問題は大分解消されてきました。現在での最大の課題がこのハードウェア問題です。

消費電力が高くて電池が持たない

セルラー通信では、通信時に非常に大きな電力を擁します。例えばある通信チップでは、500mAの電流が必要です。この場合、容量が例えば2000mAhの電池で、連続通信した場合、4時間しか持ちません。電源供給がバッテリーの場合は、とてもじゃないですが、IoTデバイスとして長期間の使用には耐えられません。

通信モジュールが高い

3G通信モジュールは、国内の技適取得済みのモノでも最安で1万円程度します。BLEやWiFi通信モジュールが数百円という値段を考えても、通信モジュールだけでこれだけ価格が高いと、IoT機器の販売価格へのインパクトが高いです。

周辺部品・設置面積を取る

SIMカードを差し込むためのSIMスロット、アンテナなどが別途必要で、その分、基板面積を広くする必要が有り、部品点数も増えるので、IoT機器の価格を押し上げます。

3G通信とWiFi通信、どちらがIoTデバイスに最適ですか?

3G通信以外の長距離通信の選択肢 LPWA

これまで見てきたように、普及している広域通信の3G/LTE通信ですが、IoTデバイスに活用をするという観点から考えると、課題も見えてきます。その3G/LTE通信の課題の中でも消費電力面について、通信距離が広域ながら消費電力を低く抑えるLPWA(Low Power Wide Area)が注目を浴びています。

LPWAとは

LPWAに明確な定義はありません。無線通信で、セルラー通信(3G/LTE)と同等の通信距離(目安として1Km程度)を実現しつつ、セルラー通信と比較して消費電力を低くし、その代り通信速度は低速にしてある通信規格の総称という理解で問題ないでしょう。

LPWAの位置づけ。通信距離と消費電力からの比較表

LPWAは、広域の送受信を可能にしつつ低消費電力を実現した通信規格の総称です。主なLPWAの種類がいくつかあります。大きく分けて無線局免許が必要なセルラーLPWA(NB-IoT、Cat.M1)と、無線局免許が不要な非セルラーLPWA(LoRaWAN、Sigfox)に分けられます。

非セルラーLPWA

日本国内において、無線局免許が不要な周波数帯に、2.4Ghz帯と920Mhz帯があります。
2.4Ghz帯は電波の直進性が高く、近距離通信に限定されていますが、大容量通信も可能なため、BluetoothやWiFiがこの帯域を使っています。920Mhz帯は、大容量通信は出来ませんが、電波の回り込み特性がよく、障害物があっても長距離通信が可能なため、非セルラーLPWAは、この帯域を活用しています。ちなみに、920Mhz帯は、は1GHz以下の周波数帯のという事で、別名サブギガ帯と呼ばれています。

・Sigfox
・LoRaWAN
・Wi-SUN
・Wi-Fi HaLow
・EnOcean LongRange
・IEEE802.15.4k

今回は、この中でも、sigfoxとLoRaWANについてみていきます。

Sigfox

sigfoxは、LPWAに特化したフランスの通信事業者の名称で、それがそのまま通信規格の名称にもなっています。sigfoxは、1国1事業者と契約して、その事業者にネットワーク構築と運用を任せる方式をとっています。日本では、京セラコミュニケーションシステムが事業者となっています。

 

Sigfox全体像

sigfox全体像(京セラコミュニケーションズHPより抜粋 https://www.kccs.co.jp/sigfox/)

上の図でみると、sigfoxで提供するのは、基地局とsigfox独自のクラウドサービス(センサーデータ交換用)です。このsigfoxを活用しようとする場合、ユーザー(IoTシステムを構築しようとする事業者)は、sigfoxに接続できる専用のIoTデバイス・sigfoxクラウドとのデータ送受信プログラム・ユーザー自身のデータ分析環境(アプリケーション)を準備する必要が有ります。イメージとしては、sigfox(日本では京セラコミュニケーションズ)はIoT向けの長距離・低消費電力通信可能なIoTデータ専用の通信事業者というイメージです。

基地局の整備が重要な要素になります。京セラコミュニケーションズでは、2017年3月 東京23区、横浜市、川崎市、大阪市。2018年3月 政令指定都市を含む主要36都市 2020年3月 全国と広げる為に、ビルや建物のオーナー、地方自治体に向け、基地局の設置場所の提供を募集しています。ちなみに、基地局設備は、アンテナと機器収容盤および給電線から構成され、原則として建物屋上の最上部に設置するという事です。

LoRaWAN

LoRaWANは、アメリカのセムテック社が開発した、LoRa変調という無線化技術を使い、LoRa Allianceによって、仕様が公開されています。Sigfoxとは違い、世界中の誰でも、その技術を使ってネットワークを構築する事が可能です。一方で、LoRaWANは、LoRaWANに接続できるIoTデバイス・基地局(ゲートウェイ)・データサーバー・アプリケーションを全てIoTサービス開発事業者が用意する必要が有ります。このシステムを予めプラットフォームとして提要する事業者も現れています。LoRaWANを使ったIoTシステムプラットフォーム提供している様々な事業者が、IoTサービスを検討しているユーザーにプラットフォームを販売するというビジネスのイメージなります。(ざっくりですが)

 



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