外部CTOでは、IoTという言葉が使われ始めるずっと以前から、センサーデバイス開発を手掛け、また、様々な企業の電子機器・電子デバイス・センサーモジュールの設計・開発をしてきました。その経験の中から、中小企業でのIoT事業開発(特にハードウェア開発が含まれるもの)の失敗事例と成功事例をご紹介し、失敗から得た教訓をお伝えするとともに、出来るだけハードウェア事業開発の成功確率を高めるための勘所をお話しできたらと思います。

中小企業にとってIoTって儲かるのか?

そもそもですが、「IoT」という言葉が日本で注目を集め始めたのが、2014年頃です。

2014年頃からIoTという言葉が検索され始めた

■GoogleトレンドでIoTを見ると2014年から急増

 

ちなみに、IoTという言葉自体は、1999年にMITのケヴィン・アシュトン氏が使ったのがはじめと言われていますが、日本でも、東京大学(当時)の坂村健教授が、1980年代に、現在のIoTと同じような仕組みを構想し、論文などで発表しています。

ここ数年で、IoTは一気に市民権を得ました。大手企業を中心に様々な企業が、IoTを活用した事業を構想し、実際に開発を進めています。

さらにそれを一層促進するかのように、IoTを具現化する為の様々なツール、IoTプラットフォーム・IoTデバイス・LPWAを中心とした新たな長距離伝送・低消費電力の通信規格・IoTゲートウェイが、様々な企業に提案されています。

IoTビジネスの参加形態には7つのポジションが考えられることをまとめた図

■IoT7つのポジショニングマップ (出典:IoTビジネス入門&実践講座)

 

上図は、IoTビジネスへの参加形態をまとめた7つのポジショニングをマップ化したものです。詳しくは「IoTビジネスでの企業間連携」をご覧頂けたらと思いますが、企業にとっては、IoTをキーワードに様々なビジネスを展開する事が可能と言えます。

こうして、2018年の現在、既にIoTブームは過ぎました。IoTをキーワードにしたベンチャーなどは軒並み、当初期待されたほどの成功は収められなかったにせよ、IoTは着実に、社会実装へ向けて歩んでいます。ちなみに、ガートナー社のお馴染みのテクノロジーハイプサイクルの2018年版では、根拠は別として「幻滅期」入っているようです。

2018年のハイプサイクルで、IoTは幻滅期に入った

さて、ここで、冒頭の「中小企業にとってIoTは儲かるのか?」という問いに、外部CTOとして応えるとすると、

IoTを活用しただけでは、今や差別化できません。また、単にIoT活用だけで儲かるかどうかも分かりません。しかし、何かしら、特に製造業は自社の効率化へむけにIoT活用に取り組まないと、競争の土俵にあがれない可能性があります。

というお話になると思います。

かつては当サイトの外部CTOもIoTに取り組まないといけないなどと、IoT自体を目的にするようなお話をしていた時期があります。ただ、様々なお客様とお仕事していくうえで、やはりそれでは、ビジネスは成功しないという事をさんざん経験しました。

上記の言葉は、

「IoTを目的化しようとしている」事に対しての我々自身の反省と、それでも、今後の事業の効率化・新規事業開発の為のツール・手段としては、依然として有効であり、活用を考えないというのは、非常にもったいないという想いから、お話しをさせて頂いています。

そもそもIoTとは何でしょうか?

さて、少々暑苦しい前置きになりましたが、
外部CTOとしてIoT事業開発の成功の勘所は一体何だと考えているのか?という本題にはいっていきたいと思います。
ここで、これを読んでいる方には、かなり釈迦に説法な話に成りますが、そもそも、IoTってなんなのさ?という話をしていきます。初めてIoTと聞いたとき、単に「Internet of Thngs」=「モノのインターネット」と訳されていたので、なんのこっちゃと思った人も多い事と思いますが、実際は、様々な人が、IoTとは?を語っています。
IoTとは・・
IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことが出来る認識可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク市場 ~IDC社~
物理的なモノ(物体)のネットワークである。またその物体には、自らの状態や周辺環境をセンシングし、通信し、何かしらの作用を施すテクノロジが埋め込まれている。 ~ガートナー社~
その他にも、インターネットで検索すると、その話している人の立場・ポジションにとって、様々な説明がなされていて、IoTの定義は百花繚乱といった格好です。いずれも間違っていないと思います。そもそも正確な定義づけをされている学術的な言葉ではないので。ただ、中には、すんなり理解する事が難しいIoT定義もあります。
外部CTOが、IoTとは?というお話をする時は、出来るだけ、聞いた人が、「IoTに取り組む事、それ自体を目的化」しないでもらいたいという思いを込めて、以下のように話をしています。
IoTは実世界をデータ化し、新たな価値や効率化の為のタネを創出する為の仕組み
つまり、IoTは、手段です。先ほどからの繰り返しになりますが、IoTを目的にしてはいけません。でも、実際は、IoTをやること自体を目的にしてしまっている人は、まだかなりいると思います。
ここで、IoTとその他注目されている技術の関係を見ていきたいと思います。
実用化が進んでいる人工知能(AI)も、現実世界からのデータを収集・分析し、その結果をフィードバックするために利用されています。
また、様々なデータが自動的に収集できるようになり、データ取得方法も多様化したことで、膨大な量のデータが収集できるようになりました。これは、これまで十分に活用されていなかった大量のデータから新たな知見を抽出する「ビッグデータの活用」にもつながります。
ヒト型ロボットによる円滑なコミュニケーションもまた、データ収集と人工知能を活用したデータ分析の掛け合わせで可能となりました。いずれも、IoTという仕組みが、様々な情報の収集・伝達に大いに役に立っています。
IoTは 実世界をデータ化し 新たな価値を創出する為の 仕組み
上の図のように、AI・ロボット・ビックデータを支えている仕組みとしてIoTが存在します。
IoTの構成要素は、この図のように考えておけばよいでしょう。
IoTの構成要素の図解

■IoTの構成要素にには、現実世界のデータ・モノも含まれる

人間で言うと、「IoTは神経網」です。「五感」(センサー)で感じた情報を「神経網」(IoT)を使って「脳」(サーバー)に伝達します。伝達された情報は「経験」(ビックデータ)として蓄積されます。その「経験」を元に、「脳」(サーバー)の内で、次に何をするかを考え(AI)、その指示を神経網を使って手・足・口・耳・目・鼻(アクチュエータ)にフィードバックするというイメージです。

このように見ていくと、これから、自社の業務効率化・あるいは、売り上げ拡大の為にビジネスを考えて行こうとする場合、IoTの仕組みは、前提として考えて行く必要があるといえます。

現在インターネット活用をしていない企業が無いように、AI・ロボットを活用しない企業が無くなると予想されるなか、それらを支えているIoT活用は、これからのビジネス課題解決の有効な手段の一部であり、IoT取りくむ事を検討しないと、競争の土台をあがれない可能性があるという事です。

でも、あくまで、自社のビジネスの課題があり、それを解決する手段としてIoTを活用できればするという基本的なスタンスは忘れないでおきましょう。