前回、ジョブ理論とは?では、ジョブ理論の概要をざっくりとお話ししました。今回は、よくご質問を受ける、このジョブ理論と他の経営理論、特に新規事業開発にあたって用いられる手法との違いについてです。

ジョブ理論とマーケティングデータによる販促

また、スーパーマーケットのチェーン店やコンビニエンスストアなどでは、膨大なPOS データを活用してそれを販売促進に役立てています。例えば、「この高齢の女性は、赤ちゃん用品を買い始めた。恐らく孫が出来たのだろう」と購買傾向から顧客の状況を推測し、「初孫を持ったおばあちゃんは、木のぬくもりがあるおもちゃを購入しがちだ」等の傾向を活用してDM 送付を行ったりすると思います。このような販売データやあるいは人口統計学的属性情報をもとにしたマーケティング戦略は、販売促進などでは、今なお有効で、一般的に、よく使われているものだと思います。

ここで注意しなければならないのは、それらのマーケティングデータは、相関関係は表しますが、なぜ買ったのか?に関しての答えは分かりません。新規に事業を開発しようとする我々が、成功確率を上げるためには、顧客がどのようなものを買い、どのようなものを買わないのかを出来る限り把握する必要が有ります。そのような、なぜ、その製品を買ったのか?を説明するのがジョブ理論です。

ジョブ理論は因果関係を明らかにする

ジョブ理論とデザイン思考

デザイン思考は、デザイナーが、ある課題を解決するためにデザイン(装飾的なデザインではなく”設計”という意味)を行う過程で用いる特有のプロセスを言います。そのプロセスが、ビジネスでの課題解決や、事業開発の手法として有用で、大変注目を浴び、様々な企業で用いられています。デザイン思考の詳しい内容はその道の専門家の方々のご説明を聞いて頂けたらと思います。

デザイン思考は、基本的に5つのプロセス(共感→問題定義→創造→プロトタイプ→検証テスト)を回していきます。このプロセスの最初の工程である、共感と問題定義のプロセスに、ジョブ理論は一定の視点を与えます。

1、共感

まずは自分達の想定する顧客を観察し、顧客の悩みや生活で起きている課題を理解します。この際には、ユーザー視点を持つこと。顧客目線で考えることで、背景や課題が見えてくるとされています。具体的な手法としてはユーザーインタビューやエスノグラフィー分析などがありますが、エスノグラフィーは、ゼロベースで消費者を直接観察し、課題を探します。その調査過程では、偶然性やその場での直感に基づく即興性、さらに、対象、内容、テーマの変更などの柔軟性が求められるので、実は慣れない初心者には非常にハードルが高いのです。ジョブ理論は、このような、共感の過程で、具体的にはどのような視点で観察し、共感をしていけばよいのか?についての視点を我々に与えてくれます。

2、問題定義

共感プロセスを経て、「ユーザー課題」「なぜ困っているか」が明確になります。ジョブ理論の視点を取り入れると、ユーザーの「ジョブ」は結局何なのか?という問いになり、そこから、本質的な問題を定義する事が可能になります。

ジョブ理論はデザイン思考の共感プロセスに一定の視点を与えてくれる

ジョブ理論とリーンスタートアップ

今や、新規事業開発のスタンダードといっても過言ではない手法「リーンスタートアップ」。事業計画等を議論を重ね、綿密立てるのではなく、コストをあまりかけずに最低限の製品やサービス、試作品、すなわちMVP(Minimum Viable Product)  ※MVP=価値を提供できる最小限の機能を有した製品)を作っては、顧客に見せてその反応を見る。小さな失敗をたくさんしながら、企画・プロトタイプ・フィードバックのサイクルを繰り返し、市場に求められるソリューションを開発していく手法です。

外部CTOでは、ハードウェア開発をともなう新規事業開発のご相談を多くお受けしていますが、MVPをあてずっぽうに作っては、資金が無くなり、社内プロジェクト頓挫パターンが非常に多いと感じています。

もともと、リーンスタートアップは、主に、ソフトウェア、アプリケーション、WEBサービス等、プロダクトを改修するのが容易で、費用が掛からない分野の事業開発の手法として広まってた経緯があります。最近では手法が、ハードウェア開発にも広まってきていますが、ハードウェアは、ソフトウェアに比べ、改修は容易ではなく、MVPを作るにもそれなりに資金・期間が必要です。従って、そういった分野の事業開発にリーンスタートアップの手法を取り入れるには、最初にどのようなMVP・試作品を作るべきか、ある程度、筋の良い顧客課題仮説を立てて検討する必要が有ります。ジョブ理論の視点を取り入れれば、顧客の解決すべきジョブは、MVPを作る前でも目星は付きますので、あてずっぽうにMVPを量産する必要が無くなります。

ジョブ理論の視点を取り入れれば、効果的なMVPを作成する事が可能になります。

 

ジョブ理論とビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスの部分で、CustmerSegmentsの部分があります。ここは、ターゲットの顧客像を考える部分ですが、この顧客像を考える上で、ジョブ理論の視点は非常に有効です。ビジネスモデルキャンバスのCSとVP部分にフォーカスをした、「バリュープロポジションデザイン」では、CSを考える上で「片付けるべきジョブ」を検討するという進め方を推奨しています。

ビジネスモデルキャンバスのCS部分の検討の際にジョブ理論の視点が役立ちます。

ジョブ理論とこれらの事業開発の手法は、補完関係にあると言えるでしょう。そういう意味で、事業開発者としては、ジョブ理論の視点を身に着けていきたい所です。

 

外部CTOサービス一覧

中小企業の経営層・事業開発担当者向けに、新規事業開発を行う上で必須の視点である ジョブ理論 講座と事業企画ブラッシュアップセッションを行い事業開発のスタートを後押し。さらに、事業開発を進める中で定期メンタリングを行い、事業開発の停滞を防ぎ、成長への加速支援を行います。
プロトタイプは機能面・外観面・文脈面、3の側面で検討。アイデアを事業提案まで進めるには、実際に動く試作を作り、外観を提示し、顧客の課題解決のためのサービスイメージを企画書に形にする必要が有ります。製品開発での最初に動くものを素早く作るラピッドプロトタイピングで、貴社の新規事業の立ち上げを支援します。
プロトタイプで顧客課題を検証委した後は、問題解決の為に使われる”必要最小限の機能を有したプロダクト(MVP)”を製作し、ユーザーテスト・フィールドでの概念検証(PoC)を行い、ユーザーからのフィードバックを得ながら、量産時の機能の取捨選択をしていく必要が有ります。
電子回路 設計 開発 IoT■デバイスの少量 量産サービス 
小ロットでの量産の為の見積・開発のご相談にやってこられるお客様が圧倒的多数を的占めます。IoTなどのハードウェア開発で、少量で量産を始め、その後、大きく事業を育てたいと考える方々に、外部CTOは、10台~1000台/LoTの少量・小規模量産で、開発リスクを削減します。
顧客課題を解決できそうな有望な製品・サービス・ソリューションアイデアだとしても、そもそも、それは「技術的に実現可能か?」という事を、企画・構想段階で検討・検証していく事は必須です。外部CTOは、技術・開発パートナーのネットワークを通じ技術調査・原理試作を行い事業企画の実現可否判断をサポートします。

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